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VIDEO-ITを取り巻く市場と技術

2011年9月8日掲載

第35回 LTO-5とLTR-100HS (後編)

株式会社 朋栄アイ・ビー・イー 竹松 昇

Long Term File System(LTFS)


(1)位置づけ

 第34回で述べてきたように、LTO-5は容量・信頼性・速度を兼ね備えたコストパフォーマンスに優れたメディアだが、基本的に追記しかできないという使いにくさがある。これまではtarと呼ばれる形式、もしくは各バックアップソフトウェアメーカーの独自形式でLTOテープにファイルが格納されてきた。tar形式だと、異なるシステム・メーカー間でも比較的互換性がとれるが、追記されたテープにどんなファイルが入っているかを知るには、テープ全体をスキャンする必要があり、また部分書き換えや削除といった便利な運用はできない。一方、独自形式で格納する場合、機能としては高く洗練されているが、メーカー間での互換性がないため、長期保存という観点でいつまで継承できるかという課題がある。
 これらの課題を解決するため、LTOテープをUSB接続の外付けハードディスクやUSBメモリのように便利に使えるようにする技術として「Long Term File System」(以下LTFS)がIBMにより開発された。LTFSは、データテープのようなストレージメディア上でファイルを管理することを目的に、名前のとおり長年間使い続けることができるように工夫されたファイルシステムである。

(2)インデックス情報

 LTFSは、格納したファイルに関する情報をまとめ、インデックス情報としてファイル本体とは別に持つ。このインデックス情報は、LTO-5テープ上のインデックスパーティションと呼ばれる領域に書き込まれる。LTO-5の新機能である、テープ上の領域を2つに分け、独立して読み書きができる仕組みをフルに利用している。ファイルを追加した場合、データパーティションに追記した後、インデックスパーティションを先頭から書き替えることでインデックス情報の更新が可能となる。インデックス情報は、互換性をとりやすくするためXMLで記述されており、ファイル名やファイルサイズ、ファイル属性の他、ファイルがテープ上のどこに存在するかという情報を持つ。長期保存のために、さまざまな工夫がなされており、たとえばファイルの日付は西暦表示で保持されるため、いわゆる2000年問題といった年月日のデータ構造に依存する問題は発生しない。
 LTFSでは、テープをLTOドライブにマウントすると、まずインデックス情報をメモリ上に読み込む。以後、ファイルへのアクセスが可能となるが、メモリ上のインデックス情報に基づいてアクセスするので、高速かつ効率の良いアクセスができる。また、インデックス情報に、該当テープ上のファイルにアクセスするために必要なすべての情報が含まれるため、USBメモリやUSB接続のハードディスク、DVD-Rを運用する感覚で、長期保存可能なアーカイブメディアへの読み書きが可能となる。

(3)ファイル操作

 LTFSは、IEEEが策定したPOSIX標準相当のファイル入出力機能をサポートする。ストレージ内のファイルの管理はもちろんのこと、ファイルの途中からの読み書きも可能で、これまでテープ上では実現できなかった処理が容易に実現できる。
 LTOの特性上、データパーティションへは追記しかできない。しかしながらLTFSではファイルの削除や途中からの書き換えも可能だ。削除や上書きを行った場合、古いデータはテープ上に残っているが、インデックスを更新して使わないようにすることで、見かけの削除機能、上書き機能を実現している。なお、削除してもテープの空き容量は増えない。

(4)オープンソース

 LTFSは、IBMが開発した技術であるが、Linux用のソフトウェアはオープンソースとしてソースコードが公開されており、幅広い利用が可能となっている。LTO陣営としてプロモーションしており、業界標準の一つとなると考えられる。

 

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(文/ 竹松 昇、(株)朋栄アイ・ビー・イー)
※本コラムは、放送技術 2010年8月号に掲載された「LTO-5 ビデオアーカイブレコーダー LTR-100HS」を改題、
一部変更・抜粋したものです。編集の関係上、雑誌掲載内容と少し異なる個所があります。

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