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VIDEO-ITを取り巻く市場と技術

2007年2月28日掲載

第26回 <屋外広告物としてのデジタル・サイネージのこれから>
    chapter 03 デジタル・サイネージのハード面からみた問題点

コラム執筆:株式会社シブヤテレビジョン 技術部
シブヤテレビジョン技術部について

デジタル・サイネージという媒体を屋外で使う場合にはテクニカルな問題がたくさんあります。それらは広告媒体として運営していくための大きな弊害になるため、改善していかなければなりません。

■雨風という大きな敵
電子機器にとって、屋外となると雨風が大敵となります。ご存知のとおり電子機器は水に弱いです。そこで屋外で使用する機器はすべて防水加工を施してあるのですが、根本的な欠点があり、放熱効果を妨げてしまうのです。特に夏には直射日光があたる場所では内部温度が50度60度を越す事も想定しなければいけません。

数々のデジタル・サイネージと呼ばれるシステムは、ほとんどが屋内仕様です。現在では「冷房付きの大きなハコの中に入れる」という手法のため、どうしても体積が大きくなってしまいます。当然大きくなれば、設置場所の制限があり、手軽に設置ができなくなります。手軽に設置ができないということは、それだけ普及率が下がってしまうという事につながるのです。

■通信線の確保
デジタル・サイネージの大きな魅力の一つに「リアルタイム性」があげられます。常に最新情報を発信できる事が従来の広告との大きなアドバンテージになりますが、その情報を伝えるためには通信線が必要になります。

屋内、もしくは建物に面した装置であれば、その建物のインフラを借用して通信線を確保することができますが、スタンドアローン状態で設置されるものには寄生できるインフラがありません。一昔前であれば、コンテンツの入ったメディアを毎日入れ替えるという方法をとっていたときもありましたが、媒体が何十何百箇所とある場合や、遠隔地であれば、なおさらその手法は使えません。

現在はインターネットの光回線が安価に手軽に導入することが可能ですが、それはあくまで「建物」に対して引き込むことが前提です。仮に近くの建物のインフラを拝借することができたとしても、その線を物理的に引き込むには管路を確保しなければいけませんので、場所によっては不可能な場合も多々あります。

街頭でのメディアミックスの例
写真:街頭ビジョンと他媒体を融合させたメディア・ミックス型プロモーションの例

 

■表示器が見えにくい
今、映像表示器として「液晶」「PDP」「LED」が主に使用されています。しかしながら「液晶」や「PDP」は昼間の屋外ではほとんど見えない状態となり、見えないものは広告ではありません。それにかわる表示器として、「電子ペーパー」や「有機EL」が注目されています。これらはまだまだ発展途上の段階で、一般に浸透するにはもう数年かかりそうな気配ですが、是非とも安価に、そして大型化になることを願います。

■「自動販売機」の可能性
飲料の自動販売機にモニターを組み込み、そこに広告を放映する、「自動販売機」との融合が最近注目されています。そこに「リアルタイム性」や「インタラクティブ」な要素を盛り込むことにより、新しいメディアとして可能性がでてきます。飲料の自動販売機であれば、商品を冷やすための「冷蔵庫」を内蔵していますし、電源は確保されていますから、電子機器に必要な「電力」と「冷却」をそこからまかなう事ができます。

通信には、近年急速に発展してきた「無線LAN」や「モバイル通信」を使用します。近所の建物まで通信線を確保できれば屋外で使用可能なIEEE 802.11a規格で媒体に対して情報を送ることができます。さらに、余った帯域をFONなどの共有サービスでホット・スポットとして解放することもできるでしょう。

それらが不可能な場合でも、都市部であればPHSや携帯電話など、モバイル通信を利用できます。通信速度が遅いですが、前夜のうちにコンテンツをダウンロードする方法にすれば、問題はありません。

すこしずつ、屋外におけるデジタル・サイネージも少しは兆しがみえてきたように思えます。しかし、媒体が増える事によりコンテンツ不足という大きな問題が発生します。次回はこのコンテンツの問題をとりあげていきます。

■参考URL

・地下鉄仙台駅ホームに電子ペーパー広告
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0711/28/news116.html

・FON
http://www.fon.com/jp

・自動販売機とデジタル・サイネージ「MONITAN」

http://www.fujitaka.com/dss/monitan.html

 

(コラム記事/ シブヤテレビジョン 技術部)

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