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VIDEO-ITを取り巻く市場と技術

2007年2月14日掲載

第24回 <屋外広告物としてのデジタル・サイネージのこれから>
    chapter 01 デジタル・サイネージの屋外広告媒体としての価値

コラム執筆:株式会社シブヤテレビジョン 技術部
シブヤテレビジョン技術部について

最近、デジタル・サイネージという言葉をよく耳にします。デジタル・サイネージそれ自体は昔からあるシステムではありますが、近年ネットワーク技術が進化したのにともない、そのサイネージも多岐にわたって発展してきました。しかし、それらを「広告媒体」として機能させることができるのかどうかは難しい問題です。屋外広告物の媒体主の観点からデジタル・サイネージの問題点を考えていきます。

■広告媒体としての価値
デジタル・サイネージの一番の利用方法は「案内板」です。ホテルや大型ショッピングモールなどで店舗や施設、イベントなどを簡単に検索できるのはとても便利ですが、残念ながら広告媒体として使用されている例は少ないようです。
2年前に渋谷の街中に「デジタル地図案内板」が登場しました。タッチパネル式のモニターで映画館やライブハウスなどを検索して、さらにその情報を携帯電話にリンクさせることも可能です。広告も表示され、これを利用した人は必然的にその広告を見ることになります。しかしながら、広告媒体とは成功したとは言えない結果となり、撤退せざる得ませんでした。デジタル・サイネージはある意味「なんでもアリ」の表示器です。そこには無限の可能性を感じてしまいますが、広告媒体としての利用は難しいようです。

■屋外広告物としてのデジタル・サイネージ
弊社は渋谷の街中に6基の大型LEDビジョンを所有し、映像コンテンツを不特定多数の人々に対して発信しています。それらをデジタル・サイネージと呼ぶ人もいますが、残念ながら屋外の大型LEDビジョンはネオンサインとビルボードの融合物であり、デジタル・サイネージという概念とは少々違います。しかし、今までの広告物が「偶然接触する媒体」にすぎなかったものに対して、大型ビジョンが「動画」と「音声」という半強制的視認性を持ったことにより、屋外広告の新しい形として発展してきています。

タワーレコード横ビジョン
図1:シブヤテレビジョン所有の街頭ビジョンの例、「タワーレコード渋谷店横 ビジョン」。

広告媒体としてのデジタル・サイネージを定義付けるのは今の時点ではまだ難しいです。その原因の一つに、広告主と消費者の認知度が低い事が挙げられます。屋内のシステムであれば案内板と併用することにより、広告を表示し、それを媒体として売ることは可能かもしれませんが、屋外の場合は事情が変わってきます。
屋外広告の場合は、その場に人がいなければ意味をなさないので「偶然接触する媒体」という概念がつきまとってしまいます。さらに、その場にいたとしても、わざわざその端末にアクションを起こしてまで情報を得る人は非常に少ないのが現状です。

今では携帯電話が一番の「媒体」として活用されていると言っても過言ではありません。つまり人々は屋外に設置されてあるインタラクティブ端末より自分の持っている携帯電話を操作するほうが何倍もたやすいのです。

■これからデジタル・サイネージをどう活用していくべきか
現在の屋外広告事情では「一方的に発信している情報にどのようにして視認性をもたせるか」というのが一番の課題になります。デジタル技術を使用した媒体物は全て「デジタル・サイネージ」と言っても間違いではないかもしれませんが、既存の媒体をただデジタイズしただけでは「新しい広告のあり方」への発展はありません。先に示した通りデジタル・サイネージ技術を屋外広告物として使用するには、解決しなければいけない問題がたくさんあります。

次回はどうすればデジタル・サイネージ技術を屋外広告物に活用することができるのかを紐解いていきたいと思います。

(コラム記事/ シブヤテレビジョン 技術部)

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