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VIDEO-ITを取り巻く市場と技術

2007年1月31日掲載

第22回 モバイル・マルチメディア放送の展望<その3>
    「ラジオ局が動画??デジタルラジオのサービスとは」

コラム執筆:株式会社エフエム東京 小田慎也
執筆者のプロフィール

デジタルラジオは2003年10月から東京・大阪で実用化試験放送が開始されています。実用化試験放送とは、実用化に移す目的で試験的に開設する放送で、ビジネストライアル的な位置づけともいえるでしょう。
このデジタルラジオは、音声を中心として各種データや動画もあわせて送ることが出来る放送であり、マルチメディア放送を先取りしているといえます。いくつかのチャンネルでは、簡易動画や多彩なデータ放送、さらにはコンテンツのダウンロードサービスもすでに実施されており、auから発売された対応携帯電話を中心に150万台以上が普及しています。

「ラジオ局が、画面を使ってマルチメディア放送をやるのか??」と疑問視する声もあるかと思います。しかし、ラジオ局は元来移動体環境で「ながら視聴」を中心としたビジネスを行なってきたこともあり、移動体環境下の放送ビジネスに関して多くのノウハウが蓄積されているのです。

現在TOKYOFM(以下TFM)は免許人であるデジタルラジオ推進協会(以下DRP)の会員として実用化試験放送に参加しています。TFMは唯一、3セグメント方式を使った放送をしており、"3セグメントマルチメディア放送"として3チャンネルを放送しています。ENERGY701チャンネルにおいては、現在、常時動画付きの番組を放送しています。基本は音楽番組で、スタジオのパーソナリティ(DJ=ディスクジョッキーといわず、VJ=ビデオジョッキーという)の様子から、曲が始まるとミュージックビデオの画面へと切り替わります。ラジオ局ならではの動画放送の代表的な事例といえるでしょう。

ワンセグでは一時話題となった「放送画面と通信画面の混在表示」の問題。テレビ画面を見ずに通信コンテンツへユーザーが逃げられたらたまったものじゃない!というところから議論が始まったとかなんとか、色々と議論があったようです。ところがラジオはそもそも<ながらメディア>で育ちました。ラジオの音を聴きながらであれば通信コンテンツを見ていても、雑誌を見ていても、勉強していても、それはリスナーの自由であり、放送局として制限すべきことではありません。このような背景もあり通信と連携したサービスを作ることは、ラジオ局にとっては絶好のビジネスチャンスであり、得意分野であるといえます。

ラジオでオンエアした曲を通信サイトから購入、など、誰もが思いつくビジネスであり、ユーザにとっても非常に重宝するものです。現にFMケータイ(アナログFMラジオ付き携帯電話)ではFM放送を聴きながらボタンを押すと、通信サーバから楽曲情報が引き出すことが出来、着うたやCD販売サイトへアフィリエイトします。これがデジタル化すると、放送波そのもので楽曲情報を送ることが可能になるのです。すなわち、PullではなくPushで楽曲情報を得ることが出来るのです。

FM放送においては「見えるラジオ」という、FM多重の技術を使ったサービスがあります。3セグメント放送はFM多重放送の100倍もの伝送容量があります。音だけでなく、豊富なデータが伝送可能となり、静止画も、動画も、送れるようになります。そこに新たなビジネスチャンスを目指して積極的にチャレンジしていくことは、ラジオ局にとって当然のことです。


図1:デジタルラジオ端末画面の一例 (TOKYO FM提供)

 

(コラム記事/ エフエム東京 小田慎也)

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