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VIDEO-ITを取り巻く市場と技術

2007年1月17日掲載

第20回 モバイル・マルチメディア放送の展望<その1>
      「どうなる??モバイル・マルチメディア放送」

コラム執筆:株式会社エフエム東京 小田慎也
執筆者のプロフィール

 

2011年のアナログテレビ停波後の周波数跡地利用を巡り、携帯電話などへ向けたマルチメディア放送の実現へ関係各所が動き出しています。

2011年にアナログテレビ放送が停波すると、90〜108MHz/170〜222MHzのアナログテレビ放送が使用していた電波が"空き地"になります。この空き地をどう使うか?という点が情報通信審議会電波有効利用方策委員会で議論されてきました。結論として、VHF帯ローバンドの18MHz(90M〜108MHz)と、ハイバンド(207.5M〜222MHz)の14.5MHzを現行のテレビジョン以外の「放送システム用」に使用することが決まりました。"テレビジョン以外の放送"ということで、携帯電話などに向けたマルチメディア放送が実施される見込みです。


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図1:VHF帯(90-108MHzおよび 170-222MHz)の周波数配置案
出展  2011年以降のVHF帯跡地利用計画(案) 平成19年5月17日総務省報道資料より

日本国においてモバイル向けのデジタル放送といえば、2.6G衛星を使ったモバイル放送「モバHO!」の誕生が最初でした。その後、2006年12月より地上デジタルテレビジョン放送の帯域の一部利用した移動体向け放送「ワンセグ」が開始されました。2011年以降に向けては、2003年から実用化試験放送を続けている「デジタルラジオ(地上デジタル音声放送)」や、企画会社を設立した「ISDB-Tmm」、海外で既に放送を開始している「MediaFLO」などが参入を目指していると言われています。

ここで技術的な仕組みを考えてみましょう。日本の放送方式である「ISDB-T」を使用しているワンセグや、「ISDB-Tsb」を利用しているデジタルラジオは、MPEG-TSの多重化方式(ISO/IEC13818-1)をベースにしてます。コンテンツやPSI/SIなどの制御情報をすべて188byteのパケットに分割して送信するものです。MPEG-TSを使うメリットとしては、映像、音声、そしてデータ放送のコンテンツ間の同期やリンクを取るのに適しており、"マルチメディア"な放送を実施するには非常に適していると言えます。
「ISDB-Tsb」は、13セグメントを送信するISDB-Tのファミリーと言われています。簡単に言うと、13セグメントの真中1セグメントを使用するISDB-Tに対して、ISDB-Tsbは1セグメント、もしくは、3セグメントを単独で、あるいは幾つも束ねて(連結送信)使用することが出来るシステムです。

動画はH.264を使用し、音声は低レートでも高品質な音声が可能なAAC-SBR(携帯電話の「着うた(R)」などで使用れているHE-AACと同類)が採用され、限られた狭い帯域内で高品質なサービスが実施されています。

データ放送はXHTMLをベースとした記述言語の"Broadcast Markup Language"、ハイビジョン放送などと共通技術の通称「BML」と呼ばれている方式です。
また、海外ですでにサービスが開始されている「MediaFLO」はクァルコム社が開発した技術をベースとしており、IPパケットの伝送など、通信コンテンツと親和性が高いのが特徴と言われています。

 

(コラム記事/ エフエム東京 小田慎也)

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