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VIDEO-ITを取り巻く市場と技術

2007年12月6日掲載

第18回 著作権保護からセキュリティ用途まで〜電子透かしのご紹介
- 「透かし技術の活用事例と世界的な標準化に向けて」

コラム執筆:株式会社メディアグリッド 岡村一寛
執筆者のプロフィール

■透かし技術が求められる時代とは?
今まで述べてきた各種の透かし技術は、ようやくビジネスの世界で活用され始めました。過去、何度か電子透かし技術が注目を得た時期がありました。古くは、電子書籍(CD-ROMなど)の出始め、インターネットの普及とwebの進化、音楽データ販売の草創期、ブロードバンド本格化に向けた動画配信…ここ数年で様々な環境が進化、発展し、新しいビジネスが生まれては消えながら徐々に本当に求められる技術が明確になりつつあります。

ほんの数年前まではDRMという権利管理スキームが議論されていました(今でも重要な議論とはなっています)。しかし、振り返ってみるとWindows Media Rights Managementが出始めて以来憂慮されていたように、コンテンツビジネス市場の閉塞感を生み、市場拡大は思いの外広がりません。そんな中、iPod(R)で知られるようにユーザの利便性を重視したコンテンツビジネスが成功を収めます(決して技術的な優劣でサービスの成功がもたらされた訳ではありません。ハードウェアを含め、あらゆる要素が関係しています)。同様に動画を含め、ファイル共有サービスやパーソナルコミュニケーションの形態が様々なサービスの形で出現します。

地域、文化、言語、商習慣…の異なるユーザが同一のプラットフォームでサービスを享受する時代に突入しています。また、それを許すインフラ環境が整いつつある時代です。

対して、内向きのデータ流通も激変しました。企業内を中心に、あるグループ内で秘匿性の高い情報の種類(メディア)も多種多様になりました。オープン設計となったシステムの中で、如何にデータセキュリティを保つか、データトレーサビリティを実現させるか、という思考へ進んでいます。これもDRM同様に、前時代においてはデータ暗号化、ファシリティの安全性を強化することだけではリスクを押さえ込めないことが明白となりました。

両分野において共に言えることは、人間が関わる以上はミスもあれば完全な管理も成し得ないということです。利用者の利便性が保たれなければ活用されない仕組みであり、利便性を高めることは、ある意味で脆弱性を認めることにつながります。

■多くの要求に応えられる技術基盤の確立
2006年、電子透かしの研究・開発・サービスに関わる企業が終結して世界にまたがる団体を設立しました。これは、電子透かし技術では世界でも最も著名な企業である、Digimarc corporationを中心に組織された、Digital Watermarking Alliance(DWA)です。立ち上げメンバーとして世界中の12社によって組織され、現在16社加盟しています。

図1:キャプション(仮)

図1:Digital Wwtermarketing Aliance(DWA)加盟の16社

今まで電子透かし技術は様々な活用がされていますが、以前は世界的に共有の組織が無く、市場開拓も技術革新も個々の企業に任されていました。この団体では、市場拡大・促進を目的として、技術普及/啓蒙活動を行ない、多くのビジネスで活用してもらうために組織された団体です。この団体では技術に関わる企業を中心に組織されていますが、過去と異なり利用企業も会員として参加し、また会合に参加することで技術革新、新しいテーマを共有する基盤として活動を行っています。前回までの会合で利用企業の代表として電子透かし技術への様々な要求を述べた企業は、Walt DisneyやUniversal Music、Gibsonなども参加しています。

 

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(コラム記事/メディアグリッド 岡村一寛)

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