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VIDEO-ITを取り巻く市場と技術

2007年11月15日掲載

第15回 著作権保護からセキュリティ用途まで〜電子透かしのご紹介
- 「電子透かし技術とは?」

コラム執筆:株式会社メディアグリッド 岡村一寛
執筆者のプロフィール

■まえがき
電子透かし技術をご存知の方も多いかと思います。数年前まではweb用静止画像の世界で著作権保護のために利用されるケースが多く見られました。最近では動画共有サービスを始め、新たなニーズが高まっています。また、技術的な向上により適用範囲が広がっているように見受けられます。このユニークな技術と世界の最新動向をご紹介いたします。

■電子透かし技術とは?
皆さんは、「電子透かし」という名前を聞いたことはありますでしょうか?

静止画像に関わる技術者の方は、Adobe社画像加工ソフトウェアPhotoshop(TM)の中に"Digimarc"というフィルターがあることをご存知かもしれません。端的に説明いたしますと、「任意の電子的情報を不可視/非可聴な状態に埋め込む技術」となります。つまり「目に見えない、耳に聞こえない」状態で任意の情報を埋め込むことが出来る技術です。

実際に目の前で画像や動画・音声に情報を埋め込み、即座に読み取るデモンストレーションを行なうと、「っえ!」と驚かれる方が多くいらっしゃいます。

 

写真1:透かしが埋め込まれていないオリジナル画像

写真1:透かしが埋め込まれていないオリジナル画像

 

写真2:透かしが埋め込まれている画像

写真2:透かしが埋め込まれている画像

写真1と写真2を見比べてみてください。写真1に対して透かしを埋め込んだ画像が写真2です。一見どこも変わっていないように感じます。実際は1つ1つの画素単位で情報を書き換えています。

画像情報に任意の情報を埋め込む透かし技術はなんとも不思議な技術です。この透かし技術には以下の種類が主に存在します。
【1】 静止画像用透かし技術
【2】 音声用透かし技術
【3】 動画用透かし技術

このように身の回りに存在するメディアに合わせて技術は対応をしています。以上の3種類の透かし技術から派生し、以下のような区分けが出来ます。

透かし技術の区分け
【1】静止画像用透かし技術

■デジタル画像用

・カラーRGB用
・カラーCMYK用
・グレースケール用
・モノクロ(二値)用

■印刷画像用

・ 商業印刷用
(オフセット、オンデマンドインクジェット等)
・特殊印刷向け(特色対応など)

【2】音声用透かし技術

■権利保護用

・音楽用
・その他

■コンテンツリンケージ用

・音楽用
・その他

【3】動画用透かし技術
・ベースバンド用リアルタイム処理
・コーデック対応ファイル出入力処理
・デジタルシネマ用


そして、各コンテンツ(メディア)よって、以下のような用件が存在します。
1. 著作権保護(コピーライトの明示)
2. 不正利用防止(抑止効果)
3. コンテンツ管理(データマネージメント)
4. 付加情報追記(データ自体のメタ化)
5. マーケティング利用(データに付加価値情報の追記)

現在、我々の身の回りには多くの種類と用途の異なるコンテンツ(データ)が存在します。様々な意図をもつコンテンツは、近年更にその価値が高まっていることは事実です。地域や環境によってビジネスとして成立しないケースも多々ありましたが、その価値は高まっているといえます。現在においても、コンテンツに対するセキュリティや取り扱いのルールは煩雑であり、地域や利用用途によって統一した扱われ方がなされていません。近年電子透かし技術はようやく実用のレベルに達したと言えます。海外を含め、利用されるケースが顕著となり、環境がようやく整ってきたと思われます。なぜならばコンテンツを取り扱うにあたり、地域や環境に依存せずに、不可視/非可聴の状態で情報を埋め込むということは、ハードウェアやソフトウェアに依存することなくコンテンツに不可分なタグをつけることが可能だと言えるからです。

つまり、ビジネスモデルや利用システム構成、ソフトウェアの違い、コーデックの違い、著作権管理ポリシーの違い・・・という様々な障害に何ら影響を与えず、また与えられることが無い、唯一の技術と言えるからです。

いまや1つの情報は一瞬にして世界中を駆けめぐる時代です。ビジネスの中心であるコンテンツの価値を、様々な価値観を持つ多種多様な世界で共有するという難しい課題に対応できることは、我々に想像以上の多くの利益を与えることが出来ると言えます。

次回から各透かし技術について簡単な技術解説を行ないます。それぞれの透かし技術は密接に関係し、あらゆるメディアの統一管理を可能にすることがもたらすメリットをお判りいただけるかと存じます。

(コラム記事/メディアグリッド 岡村一寛)

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