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2007年8月16日掲載

第7回 MPEG-2 PS概要 後編

■MPEG-2 PSとTSの違い

MPEG-2 PSとTSは、共に可変長のPES(Packetized Elementary Stream)パケットをベースにすることで相互変換を可能にしているが、以下の差異が存在する。

(1)多重化後のパケット長
・PS …効率を向上するため、PESを単位とした可変長のパックという単位で記録される。通常は記録メディアのセクタサイズ(例えば2,048バイト)単位で記録する。
・TS …PESはATM(Asynchronous Transfer Mode)セルのペイロード長に適合した、固定長(188バイト/204バイト)に再分割・セグメント化される。

(2)誤り訂正
・PS …実装できない。保存先ストレージの誤り訂正機能は、各メディアの規格に則って適用される。
・TS …FEC(Forward Error Correction)を付加することで実装が可能。FECを使用した場合、パケット長は204バイトとなる。ただし、このFECは電波による伝送に対応するもの。IP伝送の場合、パケット欠落のパタンが異なるので、TS規格の外側でFEC処理が必要となる。

(3)オーバーヘッド率
・PS …複数のPESパケットを、記録メディアのセクタ長といった、比較的大きなサイズに統合するため、多重化した後のパケット長が長くなることで余剰部分は少ない。また、誤り訂正が実装されないため、運用上もオーバーヘッド率は低い。
・TS …多重化時にATMセルのペイロード長に分割されるため、PESパケットと比較して、各TSパケットに24バイトのオーバーヘッドが付加される。また、ネットワーク伝送向け用途に使用する際は、誤り訂正を付加することで運用上のオーバーヘッド率は更に増加する。

(4)複数ストリームの格納
・PS …映像は16チャネルまで、音声は32チャネルしか格納できない。但し、主用途が蓄積メディアであるため、通常は単一の映像・音声で 構成される。
・TS …1ストリームに、複数の映像・音声を多重化することができる。

■MPEG-2のパケット単位 - PES

MPEG-2 PS/TS共通のパケットレイヤが、PES(Packetized Elementary Stream)パケットである。PESパケットは、唯一のエレメンタリストリームによって構成されている。PESパケットによって構成されるPESストリームは、Stream_idによって他のPESストリームと区別されるため、PES構造を用いることにより1つのシステムストリーム内に複数のエレメンタリストリームを格納することが可能である。
MPEG-2 PS/TSは、PESパケットによって論理的に構成されており、また、PESパケットは、多重化時に必要な情報を包含するため、エレメンタリストリームまで分離することなく、PESパケットを基にPS⇔TSの相互変換を容易におこなうことができる。
概要としては、パケットの先頭にフラグ類@が配置され、それに付随した、条件符号化された項目Aと更にそれに付随した項目が続き、最後にパケットデータ(バイト単位)が記述される形となる。

 




※カッコ内の数字はビット数
図1.MPEG-2のパケット単位 - PES

 

MPEG-2のパケット単位
@のフラグ類に指定される項目
  (カッコ内はビット数)
PESスクランブル制御 (2)
PESプライオリティ (1)
データ整列表示 (1)
コピーライト (1)
オリジナル/コピー (1)
PTS & DTAフラグ (2)
ESCRフラグ (1)
ES速度フラグ (1)
DSMトリックモードフラグ (1)
付加コピー情報フラグ (1)
PES CRCフラグ (1)
PES拡張フラグ (1)
Aの条件符号化に指定される項目
  (カッコ内はビット数)
ESCR (42+6)
ESレート (22+2)
トリックモード制御データ (8)
付加コピー情報 (7+1)
先行コピー情報 (16)
PES拡張制御 (5+3)
PESプライベートデータ (128)
パックヘッダ情報長 (8)
パケットシーケンスカウンタ (7+1)
MPEG1/MPEG2識別 (1+1)
オリジナルスタッフィング長 (6)
パックヘッダ情報 (不定)
バッファスケール (1)
バッファサイズ (13)
PES拡張長 (7+1)
拡張データ (不定・予約)

 

(コラム記事/ (株)アイ・ビー・イー 開発部)

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