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2007年6月28日掲載

第4回 MPEG-2 TSの概要 後編


MPEG-2 TSの拡張部分

MPEG-2 TSヘッダの基本部分以降に、必要に応じ拡張ヘッダが付加される場合がある。この拡張ヘッダは「アダプテーションフィールド」と呼ばれ、 MPEG-2 TSパケットヘッダの「アダプテーションフィールドコントロール」部分のフラグにより、 MPEG-2 TSパケットヘッダ直後にアダプテーションフィールドが存在するか判断出来る。また、 MPEG-2 TSパケットのうち、TSヘッダとアダプテーションフィールドを除いた実データ部分を「ペイロード」と呼ぶ。

図 1. アダプテーションフィールドの構造

(以下オプションの項目)

・PCR(Program Clock Reference)
・OPCR(Original Program Clock Reference)
・プライベートデータ

アダプテーションフィールドで重要なのは PCRである。PCRとはMPEG-2 TS送信機と受信機の時刻同期を行う際の基準となるクロックで、27,000,000=1秒で表される。MPEG-2 TSストリーム中に100ms間隔で出現する事が推奨されている。

もし、送信機と受信機でそれぞれ独自に基準クロックを生成し処理を行った場合、必ず送信、受信機でクロックのずれが発生してしまう。送信機より受信機のクロックが速い場合、受信機が処理する MPEG-2 TSデータが底を付き、カクカクした動画、ブツブツ途切れる音声となってしまう。

逆に受信機より送信機のクロック速い場合、受信機内で MPEG-2 TSデータを一時保管する為のバッファが溢れてデータの欠損が発生し、四角いノイズが発生したり画面全体が崩れたりする。

この問題を回避する為、基準となるクロック= PCRが必要となるのである。


図2. PCRの役割

 

■特殊な MPEG-2 TSパケット

MPEG-2 TSパケットには、動画、音声を内包するパケット以外に特殊なパケットが存在する。

以下、代表的な MPEG-2 TSパケットを列挙する。

 

・PAT(Program Association Table)

MPEG-2 TSストリーム内にどのような映像が含まれているのかを記述したMPEG-2 TSパケット。

PMTのPIDが列挙されている。

PATのPIDは0と定められている。

 

・PMT(Program Map Table)

1つの番組に含まれる動画や音声、その他のデータのPIDを記述したもの。

テレビ放送のチャンネルに該当する情報を、その MPEG-2 TSストリームに含まれる複数のチャンネル分記述する。

PMTは、 新聞などのテレビ番組表の一部のようなもの。

 

PAT/PMTのようなMPEG-2 TSストリームの番組構成情報をPSI(Program Specific Information)と呼ぶ。

 


図3. PAT / PMTと実データへの関連付けの例


・NULLパケット

なにもデータを内包しないダミーパケット。伝送ビットレート調整に使用される。
PIDは8,191(0x1FFF)と定められている。

表 1. PIDの値と意味

 

■ MPEG-2 TSの具体的な使用例

現在、一般的に「デジタル放送」と呼ばれている地上波デジタル放送、 BSデジタル放送、CSデジタル放送( SKY PerfecTV! )、ワンセグは全て MPEG-2 TSによる放送となっている。「デジタル家電」として販売されている、これらの映像受信録画機も MPEG-2 TSに対応していて、意外と身近な存在なのである。

また、映像以外のデータを放送する「データ放送」というものがあり、「デジタルデータ放送」については MPEG-2 TSが使用される。「データ放送」で放送される内容について規定は無いが、例えば天気予報やニュースなどが放送される。

「デジタルデータ放送」の詳細については、次回以降解説する。

(コラム記事/ (株)アイ・ビー・イー 先端システム研究所)

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