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VIDEO-ITを取り巻く市場と技術

2007年5月8日掲載

第2回  「NAB2007」に行ってきました!

■NAB2007とは

毎年、米国ラスベガスにあるコンベンションセンターで行われる、NAB(National Association of Broadcasters・全米放送事業者協会)が開催する世界最大級の放送機器・技術の展示会。秋にヨーロッパ(オランダ)で開催されるIBCと並んで、放送・映像業界の2大展示会として有名です。今年は、4月16日〜19日の4日間開催され、世界141カ国から約10万人以上が参加し、約1,500社以上が出展しました。 IBEは毎年訪問し、業界動向の確認や提携先の海外ベンダーとの打ち合わせなどを行っています。

■ 業界の流れ

今年のNABは、大きな二つの流れ、(1)新しいメディア(インターネット、ブロードバンド、 携帯)の進化、(2)IT、 IP技術を使ったワークフロー改革への対応に、引き続き業界全体として「じっくり」取り組むというものでした。 前者(1)については、展示会ではIPTVがキーワードながら、基調講演に Sling Media やGoogleのCEOを呼んだり、 Social Networking を テーマの一つにするなど、放送業界を取り巻く新しい事象への対応に積極的に取り組んでいこうという意向が明確に出ていました。 後者(2)は、IBEの提唱してきた「VIDEO-IT」の応用分野ですが、もはやこの業界では大前提となっています。従来はSDのみ対応のものがほとんどでしたが、HD対応のものが非常に増えました。

講演会では、米国での アナログ放送が終了する2009年2月 をテーマと したセッションが初めて開催されました。 日本では2011年7月ですが、米国では一足早くアナログ放送が終了予定です。放送技術講演会の基調講演で、 NHKの西山理事が講演されたことも印象的でした。内容は、日本のHDTVでのさまざまな新しい取り組みで、ワンセグから、 NHKが開発に取り組んでいるスーパーハイビジョンまでを紹介し、放送の未来像を語る、というものでした。従来のテレビが 「遠くのものが見える」"Tele-Vision"メディアであったのに対し、スーパーハイビジョン「そこにいるような感覚を提供する」 "Tele-Sense"メディアであるという話をされ、好評でした。

■ IBE関連ブース

IBEが代理店をつとめるMOG SolutionsとStradisのブースを紹介します。

MOG Solutions

小さな会社ながらMXF用ソフトウェア開発で有名なMOG Solutionsです。例年通りさまざまなテープレスカメラのMXFファイルを彼らの製品 theScribe で一元的に取り扱うデモを行いました。このNABでソニーから発表された PC用XDCAMドライブ も早速展示していました。

また、今年は新製品「Toboggan Media Transfer」の展示をおこないました。 Toboggan Media Transferは、 AvidのビデオサーバにAvidのノンリニア編集ソフトを経由せずにファイルをアップロードできるツールです。XDCAM HDの場合、 MPEG-2 Videoのまま MXFラッピングのみをAvid Friendlyにしてアップすることができます。 GUIのみのソフトウェア単体版、システムに組み込んで動かすサーバ版の2つのラインナップでお求めいただけます。 オプションでメタデータカスタマイズにも対応いたします。


[MOG-Solutionsのブースの様子。小さいブースにも関わらず連日多くの訪問者で賑わっていました。]


[新製品Tobogganの展示。下の棚は上からSONY XDCAM, GrassValley Revo, Panasonic P2, 池上通信機 FieldPak2のメディアリーダーでそれぞれのMXFファイルがインジェストできます。 ]

Stradis, Inc.

業務用MPEG-2デコーダメーカーとして実績のあるStradisです。 StradisのHD製品はヨーロッパで良く使われています。 SD製品は韓国・中国で非常にたくさん使われています。 NAB会場でStradis製品をデモに使っていた会社は、BitcentralD.Co MarketingDigital BroadcastPathfirePlaybox TechnologyRushworksの各社など。

開発中の新製品HDM500eが展示されました。HDM500eでは従来のHDM500のSDI出力チップをGENNUM 製に変え、ジッター問題を改善しました。 これでジッターは完全にSMPTE準拠となりました。


[新製品HDM500e。SDI出力用のチップをGENNUMに変え、ジッター問題を改善しました。]

 

■ピックアップMXF

ワークフロー統一の真髄として注目を浴びるファイルフォーマット・MXFについては、 各社のトランスコーダが軒並みMXFに対応するなど、対応製品が増えてきました。ファイルフォーマットの一つして定着したといって良いと思います。また今年のNABでは、ソニーがXDCAMのメモリカード対応版を発表されたり、 松下電器産業がP2のAVC-IntraとソニーのXDCAMと比較映像展示をしたり、池上通信機もメモリカード対応を発表したり、テープレスカメラ+MXFが盛り上がってきた様子が伺えます。

一方、トータルワークフローをMXF化する展示はまだ多くはありませんが、某所ではMXF送出の運用が既に始まっており、その興味深い具体的事例のデモンストレーションが行われていました。デモンストレーションを主催したのは、AMWA (※)という団体で、イギリスのTurner Broadcastingとの共同開発的なMXFワークフローの事例を紹介していました。

※AMWAとは、The Advanced Media Workflow Association の略で、The MXF Mastering Format Project というプロジェクトを推進している団体。実態は企業の集合体で、参加している企業は、Marquis Broadcast; Metaglue; Omneon; Open Cube Technologies; Pro-Bel; Quantum; Snell & Wilcox; Softel; TMDなど。

【AMWAによるのデモの様子】

Turner Broadcastingのマスター(送出)システムをフルMXFベースで構築した事例の紹介とデモンストレーションです。テープからの取り込み(インジェスト)、字幕付与、サーバからの多言語送出までをトータルに実現しています。ビデオ、オーディオ、字幕を別MXFファイルで扱い、更新時のトラフィックや処理時間を抑えている点が特徴です。アーカイブ時に一つのMXFファイルに統合する考え方でした。これらの方式やAPIを標準化してMXF Mastering Formatとして公開していく考えです。事例としてSD対応ながらTurner Broadcastingでは既に稼動しているシステムとして紹介されました。

[会場の様子]


[ターナーで行った実際のワークフローの全体像]  拡大画像




[インジェスト、プレイアウトサーバ(Omneon+TMD)]


[ビデオサーバ(Omneon)]


[字幕付与(Softel)]


[トランスコーダ (Snell&Willcox)、送出制御サーバ (ProBel) ]


[アーカイブサーバ(EMC+Quantum) ]

■ピックアップH.264

業界の注目するH.264技術の分野を総括すると、H.264はリアルタイムHDエンコーダが成熟し、トップクラスは6Mbps前後で十分な画質を得られるところまできた一方、多くの会社が後を追って製品を発表しています。後追い製品にはまだ実用レベルに達していないものも多いですが、幅広い製品が揃うことが期待できます。
画質が良いが高価な製品群と、そこそこの画質でそこそこの価格の製品群に分化していくと考えられます。1月末に日本で 画質検証イベント「H.264 in TOKYO '07」 を行いましたが、今回はさらにバージョンアップした各社の画質をじっくり見てきました。


[Cisco/SAのStatMux展示の様子]


[TANDBERGのH.264エンコーダの展示]


[Harmonicのブースの様子]


[Modulas VideoのStatMuxの確認画面]


[Ateme社のhyrion。4ch同時エンコードができる]


[NTTエレクトロニックスのHVE9100/HDV9100。シュミレーション映像。]

(コラム記事/ (株)アイ・ビー・イー 先端システム研究所)

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